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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第15章 【BAD NEWS】


「拝啓、新学期が始まり、新たな気分でホグワーツに戻った事だろう。当然知っていると思うが、僕は今魔法省大臣直属の部下として働いている。そして大臣直々に、君が監督生に選ばれたと聞いた。正直言って、僕は君がフレッドとジョージの様な不真面目な道を辿るのだと思っていたので、これは僕にとってとても嬉しいニュースになったと伝えておきたい。だが同時に、とても心配なことがある。そう、君が今でも“あの”ハリー・ポッターと付き合っているという事だ――」

 ロンの声がだんだん小さくなり、手紙を持つ手が震えている。ハリーが手紙を覗き込むと、続きを読もうとしないロンに代わり声を潜めて読んだ。

「――ハッキリ言って、これは君のバッジの威光を曇らせる以外の何物でもない。あの虚言癖で情緒不安定な孤児のハリー・ポッターは、こともあろうかダンブルドアの手先だ。ダンブルドアは昔は有能だったのかもしれないが、今はただの老害にすぎない。そんな奴らと付き合っていたら、首席になるチャンスを逃してしまうかもしれないのだ!君が父と違ってより良い人生を送りたいと思うのなら、ダンブルドアではなく魔法省から直々に赴任されたドローレス・アンブリッジ先生を頼りたまえ。とても聡明で、広い見識を持った素晴らしい人だ。アンブリッジ先生の道徳観を学び、どうか両親の様な愚かな過ちを犯す前に、胸に輝くバッジにポッター達と縁を切ることを誓って欲しい。敬具」

 これは酷い、いや、酷いなんてものじゃない。これが血を分けた兄弟の手紙なのだろうか。クリスは何と言って良いか分からず、言葉が出てこなかった。
 ロンは震える手で手紙をグシャグシャに丸めると、怒りを込めて暖炉に放り投げた。暖炉に投げ入れられた手紙は、赤々と燃えると直ぐに灰になった。

「ふざけてる!こんな手紙ケツ拭く紙にもなりゃしない!」
「……ロン」
「言っておくけど、僕は自分の友達は自分で選ぶし、いざとなったらバッジなんて捨ててやるからな!だから、だから――」
「分かってる、ありがとうロン」

 ハリーは礼を述べたが、ロンは納得していないようだった。
 仮にも兄が自分の親友を貶める内容の手紙を送ったのだ。ロンはイライラしたまま再びレポートに取り掛かったが、何度も書き損じては、羊皮紙を丸めて暖炉に投げ入れた。
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