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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第15章 【BAD NEWS】


 『薬草学』の授業は杖を必要とせず、実技が中心なので、こればかりはクリスも居眠りするわけにはいかなかった。
 しかも『O・W・L』の試験対策にと、スプラウト先生は難しい課題を出した。
 1年生のころから『薬草学』を苦手とするクリスは頭を抱えた。それでなくとも『O・W・L』試験で杖を使わない数少ない科目なのだ。
 いくら将来を心配する親がいないとはいえ、この科目を落とすわけにはいかないのが現状だ。

 授業が終わり、いつもより疲れて城へ戻る途中、クリスは遠くからハグリッドの小屋を見た。相変わらず明かりはついておらず、無人の小屋はどこか寂しく見える。
 しかし、今心配すべきは『薬草学』の宿題だ。クリスは夕食を終え、談話室に戻ると早速今日出された宿題に取りかかった。

 談話室の一角を占領して、ハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーは必死に羽ペンを走らせた。特にクィディッチの練習に時間を取られているハリーとロンは、宿題が山の様に積みあがっている。
 それとは反対に、ハーマイオニーは涼しい顔で今日出された課題をサッと終えると、また不格好な屋敷しもべ用の帽子を編み始めた。
 それを横目で見ながらクリスは今日出された山のような宿題と奮闘していた。

 1人、また1人と徐々に談話室にいる生徒が少なくなり、夜も更けた頃、静かな談話室の窓をコツコツと叩く音が聞こえた。
 課題に集中しているクリス達は無視したが、ハーマイオニーが視線を窓にくぎ付けにしたままロンの腕を揺さぶった。

「ねえ、ロン、ロンってば!」
「なんだよ煩いな!今やっと下らない『メガデスの暴動』についてまとめてる最中だってのに……」
「ヘルメスよ、あれヘルメスじゃない!?」
「ええっ!?」

 その言葉を聞いて窓に目をやると、確かにハーマイオニーの言う通り窓に1羽のコノハズクが止まっている。
 ヘルメスはパーシーのペットだ。家出同然で飛び出した兄から何の便りなのだろうと、ロンが慌てて窓を開けると、ヘルメスが弱々しく談話室の絨毯に倒れ落ちた。

「なんでパーシーが僕に手紙なんて……」
「なんて書いてあるの?」

 ロンがヘルメスから手紙を受け取ると、勢い良く広げて文章を声に出して読んだ。
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