第15章 【BAD NEWS】
今日最後の授業である『薬草学』に向かう最中、ちょうど4年生達と入れ違いになった。その時、ハリーの横を通る時、4年生の何人かが明らかにハリーを見て嘲笑したのを、ハリーは見逃さなかった。
と、言うのも今に始まったことではない。新学期からこっち、『日刊預言者新聞』ではハリーを嘘つきの目立ちたがり屋だと掻き立てて、それを信じた生徒がハリーに対しあからさまに馬鹿にした態度を取っているのだった。
この時も、すれ違いざまに何人かの生徒が「ほら、あの嘘つきの――」と噂し合っていた。
「気にしない方が良いよ。あいつらはいつも目に見えるものだって信じてないんだから」
突然声がしたと思ったら、4年生の中にルーナ・ラブグッドが混じっていた。いつもの様に目をトロンとさせて、首からバタービールの栓のネックレスを着け、耳には大きなカブのイヤリングを着けている。
「あたしはあんたを信じてる。『例のあの人』が復活したのも、あんたが『例のあの人』と戦ったのも」
「え……ああ、うん。ありがとう」
出し抜けに声をかけられ、一瞬ハリーは戸惑った。ルーナは言いたい事だけ言うと、何事もなかったかのように去って行った。ハリーがその後姿を見つめる。
ボーっとしているハリーに、ハーマイオニーが声をかけた。
「あんまり気を許さない方が良いわよ、ハリー。ジニーから聞いたけど、あの子、信憑性のないものばかり信じているらしいから」
「つまり、君は僕がヴォルデモートと戦ったことも信憑性がないって言いたいわけ?」
「そんなこと言ってないわ、私はただ……」
「とにかく、僕を信じてくれている人を悪く言わないでくれ」
ハリーは怒って1人温室へと入って行ってしまった。確かにあのヘンテコな格好を見て常識人とは言いにくいが、クリスもルーナを嫌ってはいない。
しかしハーマイオニーの性格を考えるに、あのルーナに気を許せと言うのも無理があるだろう。それが分かるから、クリスはハーマイオニーの肩に励ますように手を乗せると、ハリーに続いて温室へ入って行った。