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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第14章 【それぞれの思い】


「ねえ、クリス聞いて。さっきアンブリッジに手を触られた瞬間、額の傷が痛んだんだ」
「なんだって?」
「これって、何かの兆候なのかな?それとも――」
「待て、早合点は良くない。取りあえず誰か先生に報告したらどうだ?そうだ、ダンブルドアに――」
「ダンブルドアは駄目だ。今は……騎士団の事で手いっぱいだと思う」
「それじゃあハーマイオニーに相談しよう。きっと談話室に居るはずだ」

 言うが早いか、2人は談話室へ走って戻った。息を切らしながら合言葉を言うと、耳を覆いたくなるほどの大歓声が聞こえてきた。
 いったい何だろうと思って『太った婦人』の穴をよじ登ると、談話室ではパーティーが催されていた。壁には大きな垂れ幕で『新キーパー、ロン・ウィーズリー!!』と書かれている。

「やったよ!2人とも、聞いて!僕、受かったんだ!これからは僕が新しいキーパーだ!!」
「おめでとう、ロン」
「良かったな」
「うん!さあ、飲めよ!今夜は宴会だ!!」

 ロンが満面の笑みで輪の中に戻って見えなくなると、ハリーとクリスはハーマイオニーを探した。ロンの事も大事だが、今はハリーの傷が痛んだことの方が重大だ。
 ハーマイオニーは輪の中から外れて、女子寮へと続く階段の1番下に腰かけてウトウトしていた。

「……ハーマイオニー」
「うん……?ハリー、クリス?」

 軽くハーマイオニーの肩をゆすると、ハーマイオニーは眠そうに目を瞬いた。手に持っていたバタービールが、もう少しで零れそうになっている。ハーマイオニーはよほど眠いのか、寝ぼけ眼で大きな欠伸を連発していた。

「ロンが新しいキーパーに選ばれたって……良かったわね。でも、私、もの凄く眠くて……帽子がね、すぐになくなるの。だから昨日の夜も1時まで編んでいて……」

 確かにハーマイオニーの言う通り、彼女の手編みの帽子(の様な毛糸の塊)はどこにも落ちていない。だが今話すべきはそれではない。
 ハリーはハーマイオニーの隣に腰かけると、額の傷の事を話した。
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