第14章 【それぞれの思い】
「こんな時間に何やってるんだ?」
「僕――あの、その……き、君たちこそ何を?」
「僕たちはアンブリッジの罰則の帰り。それ、クイーンスイープだよね?」
ハリーの言う通り、ロンが監督生になったお祝いとして買ってもらった箒だ。まだピカピカで、学校のボロ箒とは明らかに違うのはクリスでも分かった。
「箒の試し乗りか?」
「ああ、うん。まあ……そんなとこ」
「なんで隠すんだい?別に違反じゃないんだから堂々としてなよ」
「あっ!駄目だよ!フレッドとジョージに見つかっちゃう!!」
今さっき、ここを通り過ぎたばかりなんだ、とロンは続けた。ハリーとクリスはますます分からなくなった。フレッドとジョージなら箒を買ってもらった事などとっくに知っているから、今更隠す理由がない。これは何かきな臭いと思ったハリーとクリスはその場で問い詰めた。
「ロン、何か隠してるだろう?」
「隠す?何を?あ、あー、そうだ、フレッドとジョージが1年生を連れて怪しい実験を――」
「誤魔化すなよ。さあ言えって、こんな夜に箒を持って何してたんだい?」
見る見るうちに、ロンの耳が真っ赤になって来た。ロンは「あー」だの「うー」だのしどろもどろ言葉を発していたが、遂に降参して、なぜ箒を持って隠れていたか打ち明けた。
「僕、あの――笑うなよ。だから……その……キーパーに、グリフィンドールのキーパー選抜に出ようと思ってるんだ」
一瞬、間が空いた。するとロンはさらに顔を赤くして「やっぱり」と言った。
「ほらな、良いさ、笑えよ。どうせ僕なんて選ばれないって思ってるんだろう?」
「そんなことないよ!君がキーパーか、うん、良いよ!すごく良い!それで、腕前はどんな感じなの?」
「下手……じゃないと思う。夏休みに兄弟でクィディッチをする時は、いつも僕がキーパーだったし」
喜ぶハリーとは対照的に、クリスは友人にまたもクィディッチ選手が増えるのかと思うと、がっくり肩を落とした。それを見て、ハリーとロンが困ったような顔をした。