• テキストサイズ

ハリー・ポッターと沈黙の天使

第12章 【LOST】


「ミス……えー、グレイン。あたくしを呼ぶときは『アンブリッジ先生』もしくは『ミス・アンブリッジ』と――」
「それは失礼、ミセス・アンブリッジ。ところで、ミセス・アンブリッジは魔法省に精通していらいらっしゃるようだが、お聞かせ願えませんか?魔法省が行方不明の人間に対してどこまで情報を得ているのか」
「ミス・グレイン。先ほども言った通り、あたくしを呼ぶ時は――」
「ヴォルデモート復活の夜、奇しくも元『死喰い人』が一人行方不明になっているはずですがご存知ですか?まあ臭いものに蓋がモットーの魔法省がそんな事まで知っているはずもないでしょうが」

 ああ、クリスが完全に臨戦態勢だ。とクラスの全員が思った。
 これは一波乱あるぞ、と誰もが予想する中、クリスはその期待に応えるかのように、誰かさんお得意のせせら笑いを浮かべたまま続けた。

「ですが、消えた人物も一応は有名人でしてねぇ。長きにわたりあのスリザリンの末裔と言われ、魔法界にその名をとどろかせたグレインと言えば、知らぬ者はいないと思っていたんですが……仕方がありませんよね?何せ今の魔法省と言えば能無しばかりが集まり、トロールよりも鈍い頭で出世の事ばかり考えている小役人しかいないんですから」

 「半獣の狼男の方が、まだマシな頭を持っているってもんですよ」と、クリスが止めを刺すと、凍り付いたアンブリッジの笑顔にヒビが入った。

「罰則です、ミス・グレイン」
「おや、何故です?私は魔法省が行方不明の人物に対して、どの程度ご存じなのかお尋ねしただけですが」
「貴女は国家の最高行政機関に対して、歪んだ思想をお持ちのようです。そのお考え、わたくしが正して差し上げます。さ、これを持って貴女もマクゴナガル先生の所へ行ってらっしゃい」
「それはどうも。ミセス・アンブリッジ」

 ハリーと同じ小さなメモ書きの様なものを受け取ると、クリスは鼻で笑って教室を後にした。
/ 363ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp