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ハリー・ポッターと沈黙の天使

第12章 【LOST】


 トレローニー先生が、今後1か月間夢日記を欠かさずつける様言い渡すと、やっと授業が終わった。ハリーとクリスが『闇の魔術に対する防衛術』のクラスに向かっている途中、丁度ロンとハーマイオニーと合流した。
 2人も新しい『闇の魔術に対する防衛』の先生がどんな人なのか気になっているようだった。今までの経験上、まともだったためしは1度しかない。そして始業式の態度を見るに、まともな確率はかなり低い。

 教室に着くと、何人かの生徒はもう席についていた。そして教壇の椅子には、あのガマガエルそっくりの顔をしたアンブリッジが、ニコニコ笑って座っていた。
 例の趣味の悪いピンクのフリフリのカーディガンを着て、カールした頭に小さな黒いリボンを幾つも着けており、まるでハエのたかった趣味の悪いガマガエルの置物のようだった。

「準備は宜しい?それでは皆さん、こんにちは!」

 趣味の悪い置物が甘ったるい声で親しげに話しだすと、皆ドン引きして返事が出来なかった。
 固まる生徒たちを前に、ガマガエルは「チッチッチ」と猫を呼ぶように舌を鳴らした。

「皆さん、いけませんねぇ。挨拶は大きな声ではっきりと。わたくしの後に続いて。さん、はい!『こんにちは!アンブリッジ先生!!』ハイどうぞ!」

 ぼそぼそと教室のあちこちから声が聞こえた。アンブリッジは再び「チッチッチ」と舌を鳴らすと、もう一度同じことを言って無理やり生徒たちに挨拶をさせた。
 やけっぱちで挨拶をしたクリスは、即行で教室から出て行きたくなった。

「それで結構!では皆さん、杖はしまって下さいね。羽ペンを出して――そう、それで良いですよ」

 生徒たちがのろのろと杖をしまって羽ペンを出すと、アンブリッジは黒板に向かって杖を振るった。すると文字が浮かび上がって来た。

【闇の魔術に対する防衛術その1  基本に返るべし】

 いったい何をさせようというのだ。クリスも含め生徒達全員が訝しんでいると、アンブリッジは振り返ってガマガエルそっくりの口でニタ~っと笑った。
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