第8章 捌ノ型. 悪意には悪意を
本部に着いた隊士達は皆目を見開いて、自分達の目の前に広がる状況を何とか理解しようとした。
無理もない。
自分達が付き従うお館様、そして鬼殺隊最高戦力の柱が4人の鬼の前に鎮座し重々しい空気を放っているのだから。
「お、おい....何なんだこれは....」
最後に屋敷へと着いた隊士が、先に座っている隊士へと問う。
「噂になってる鬼の女の子の事だよ...その子を丙の隊士が襲ったらしい...」
「嘘だろ....」
問いかけた隊士は開いた口が塞がらない。
と言うのも、その鬼の子、刹那に先日の任務で助けられたばかりだった。
噂では傲慢で柱達を誑かす女だと聞いていたのに、実際は優しく謙虚な性格だった。
噂に踊らされていた自分が恥ずかしくなるほどに。
だからこそ、その刹那が襲われたと言うのが信じられない。
「あんなに良い子なのに、どうして....」
「お前で最後だ、早く座れ...何があるか分からないが、従った方が身のためだ...」
俯く隊士は促され、大人しく座る。
それが合図となったのか、柱の前で優雅に煙管をふかす朱嘉が口を開いた。