第11章 拾壱ノ型. 無限列車
煉獄side
最近俺はおかしい。
おかしいと言っても体調が悪い訳でも、何処か怪我したという事でもない。
ただ、
『杏寿郎、どうかしたの?』
刹那が近くに居るとどうも動悸が早くなるし、息苦しくて堪らない。
「いや!何でもない!少し考え事をしていた!!」
己の動揺を悟られないようにいつもと変わらない返答に努めるが、きっと感の鋭い刹那には全てお見通しなんだろう。
それでも深く詮索しないのは彼女の優しさだ。
『今日は天元と出掛けるんでしょう?そろそろ出た方がいいんじゃない?』
そう笑う刹那にまた鼓動が早くなる。
(やはり俺は病気なのか...)
浮かぶ思考を振り払い、
急いで身支度を済ませ刹那に行ってくると伝える。
『行ってらっしゃい。気をつけて。』
玄関から控えめに手を振る刹那。
この瞬間はなかなか好きだ。
何故か知らないが、とても胸が暖かくなる。
ほわほわしつつ足早に待ち合わせの甘味屋へ迎えば、
見慣れた大柄の男が既に団子を頬張っているところだった。
「すまん宇髄、待ったか?」
「いや俺も今来たとこだ。」
次の団子に手を伸ばしながら言う宇髄の横に座り、自分も団子を頼む。
「で、相談って何だよ。お前が相談なんて珍しいじゃねえか。」
「うむ!実はな....」
団子が運ばれて来る間、宇髄に最近の自分について話せば
「ぶっ!!!」
盛大に茶を吹き出された。
「宇髄、汚いぞ。」
呆れたように隣を見れば、元々大きい瞳を更に大きく見開きはくはくと口を震わす宇髄と目が合う。