第8章 捌ノ型. 悪意には悪意を
「団結なんてそんな甘っちょろいもんじゃない。俺達は誓ったのさ。4人で杯を酌み交わして、いついかなる時もお嬢を信じ守り抜き邪魔する者は殺すと。例え誰かが死のうとも、絶対に破られることの無い誓いを。」
強い光を宿した朱嘉の目が煉獄を捉えて離さない。
《お前も例外ではない。》
そう言われているようで、煉獄は生唾を飲み込んだ。
しかしここで引き下がる煉獄では無い。
「俺は、絶対に刹那を裏切らない。君達が俺を信用出来ないのは分かる。だが、彼女がどんな人間なのか分かっているつもりだ。だから、死ぬ迄彼女を支え彼女と鬼殺隊と共に鬼舞辻を倒す!!!」
煉獄の言葉に嘘はない。
ここ数ヶ月で煉獄の中の刹那はとても大きな存在になっていた。
朱嘉達が例の隊士達に罰を与えて居なければ、煉獄が手を出していただろう。
それ程に、煉獄は刹那を大切にしていたから。
だから、自分と同じように刹那を大切に思う目の前の鬼神にも
負けること無く向き合う事が出来たのだ。
暫し煉獄の目を見つめてから、朱嘉はふっと笑う。
「良いだろう。お前を信じよう煉獄杏寿郎。」
朱嘉にも伝わったのだ。
煉獄の本気が。
立ち上がって伸びをした朱嘉の目には涙。
「ああ、くそ。今無償にお嬢に名前を呼んでもらいてえ。」
張り詰めた糸が切れたようにそんなことを言う朱嘉。
つられて目頭が熱くなる煉獄。
そんな2人の元に、慌ただしい足音が近づいて来た。
深夜にもかかわらず、ドタドタと走ってきたのは泣きじゃくった蛍清。
「刹那!起きたあああああ!!!」
叫びと共に特大の幸せを連れて。