第15章 ハジメテをキミと。※番外編
「がっかりした?経験豊富なテクニシャン期待してた?」
『いや……そうじゃないけど……』
「そうじゃないけど、なんだよ」
『……なんか、意外だから。さぞかしモテるんだろうし。遊びまくってきたのかなって』
「俺をなんだと思ってるの」
拗ねたように口を尖らせた五条の仕草は、年相応の男の子がするそれで。最強だの特級だのと言われていても、彼は18歳の男の子なんだと実感する。
「そりゃ俺も男だし?魔が差しそうになったこともある。でもさぁ、なんだって"ハジメテ"の事って記憶に残るモンじゃん。そんな貴重なハジメテを、どーでもいいやつで済ませたくなくない?童貞の言い訳と思われようと結構だけどさ」
五条は至近距離で、繋いだままの手をぎゅ、と握りながら続けた。
「あくまで俺は、好きになった人とがよかった。初めて好きになった人と、ハジメテがしたかった。それがこうして叶ったわけだ」
そう言ってから、にやりと笑う。
宝石みたいに光るその青い瞳に映る自分に、どくりと心臓がまた音を立てた。
「ねぇなまえ。俺のこと好き?」
『……っ急になんだよ』
「いいから答えろよ、オマエの口からちゃんと聞きたいんだけど」
『……昨晩言っただろ』
「一度きりで済ますつもりか。俺は毎日毎秒聞きたいの」
そう言って五条は、その大きな掌でそっとなまえの頬を優しく撫でた。
「そんでその度確かめたい、オマエは俺のものだって。だから俺も毎日毎秒言うよ。俺はなまえのものだって、うんざりするくらい思い知って欲しいから」
『……、』
「なまえ、好きだよ。愛してる。何度言ったって足りない。責任取ってよ。俺をこんなに夢中にさせたんだから」
その言葉を最後に、五条の顔が更に近くなって。なんと答えようかと小さく開けたなまえの口は、あっという間に五条の唇で塞がれた。