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【呪術廻戦】廻る日の青

第12章 StrawberryMoon






「―――あ、なまえさんやっと見つけた!」


事務作業を終え早足で職員室から出たなまえに、横から大きな声が掛かった。振り向けばそこには、嬉しそうに駆け寄ってくる野薔薇の姿。
つい先日初めて会ってからというもの、野薔薇はやたらとなまえに懐いていた。


『お疲れ様、野薔薇。やっと見つけたということは、私を探してくれていたのかな?』

「そうなのよ。五条のやつに聞いても全然教えてくれないの。アイツ、私になまえさんを取られるのが面白くないんだわ。おとな気なさすぎじゃない?」

『はは、悟のそういう意地悪は愛情の裏返しなんだよ、野薔薇』

「ええ、アイツの愛情なんて全然いらないんだけど。あ、そうそう、なまえさん明日って空いてる?」


野薔薇の問いに、なまえはうーんと顎に手を当てた。先の出張についての上への報告なり、生徒指導の資料作りなり、硝子の研究の手伝いなりとやらねばならない事は結構ある。特級呪術師という立場であるにも関わらず、上の意向で単独で任務に出向かせてもらえる事はほとんどないなまえだけれど、任務以外にもやらねばならないことはたくさんあって、完全にオフの日というものはほぼないと言っていいくらいに多忙なのだ。


『明日、何かあるのかな?』

「明日の休み、なまえさんに買い物に付き合ってほしいのよ。私、アメ横に行ってみたくて!」


野薔薇はつい最近、田舎から東京に出てきたばかりだ。東京に来た初日、五条に観光に連れて行ってもらえるかと思いきや結局呪霊祓いの任務だったらしく、東京観光はろくにできていないらしい。
いくら自分が忙しいからといって、目の前できらきらと瞳を輝かせている野薔薇に、NOと言えるなまえではなかった。


『いいね。それじゃあ明日、一緒にアメ横に行こうか』


なまえの返事に、野薔薇は嬉しそうに叫びながら飛び上がった。そんな可愛い生徒に、思わず口元が緩む。意地でも今日中にやる事をなるべく終わらせて、明日はたっぷり野薔薇に付き合おう。なまえはそう決めて、野薔薇と連絡先を交換して別れたのだった。


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