第7章 アルの憂鬱
「シェリー、脱出ポッドや救命艇がないか見ててや」
シェリーはロブの指示に、すぐにレーダー感度を切り換えた。
「副艦長、消火弾射程距離に入りました」
アルの報告にロブが頷く。
「よっしゃ撃ち込んだれ!」
「…」
ブリッジを微妙な静寂が支配した。
「…消火弾の発射はロブの仕事でしょ」
メルがロブに突っ込んだ。
「…そやったな、はははっ…」
ロブは艦長席から火器管制システムを起動させ、消火弾を発射した。
「どや、バッチリ命中や!」
消火弾は目標の一番損傷している箇所に命中した。吹き出していた炎は見えなくなった。
『グレン、外の消火は任せた
アイン乗り込むぞ、ついて来い!』
消火弾が命中したのを確認したスコットはグレンの班に外を任せ、アインの班と共に戦闘艦のデッキに着艦した。
『ロブ、これより戦闘艦内に進入する』
『ラジャー、外は任せて下さい』
スコット達はすぐに戦闘艦内に進入した。
「隊長、妙ですね
警報も鳴ってないなんて…」
アインが首を傾げた。
艦内は警報すら鳴らず、静まり返っている。
「ブリッジに向かう
みんな気をつけろ」
スコットを先頭にブリッジを目指した。時折、爆発音と振動が起こる。しかし、乗組員は誰もいなかった。