第8章 ローズとエリザベス
エリスの挨拶が終ってもまだどよめきが続いていた。その様子にスコットは悪戯な笑みを浮かべ、マイクを握った。
「…お前らなかなか良い根性してる様だな」
そのスコットの言葉にロブは真っ青な顔をして食堂から逃げ出そうとした。
「ロブ~!どこに行く気だ!?」
「あっ…いや先輩、ちょっとトイレに…」
「行けると思うのか?」
「…はい、行きません」
ロブは早々に諦めたが、ロブは分かっていた。スコットのあの言葉に覚えがあった。
「お前ら全員今から艦の大掃除だ!
気合い入れて掃除しろっ!」
どよめきが静寂に変わった瞬間だ。
「やっぱりそうなるんや…」
ロブはがっくりと肩を落とした。
「今回は各班の持ち場だけで良いぞ
ちゃんと掃除してなければ、分かっているよな
判定はエリスにやってもらう」
「えっ?私ですか?」
エリスが首を傾げた。
「みゃ~」
ローズがエリスの腕の中で鳴く。
「何だ?お前もやりたいのか?」
「みゃ~」
ローズは答える様に鳴いた。
隊員達は持ち場に戻るとすぐに掃除を始めた。もちろん誰一人欠くことなくだ。
「先輩が言い出した事や!隅々まで磨くでっ!」
ブリッジではロブが、みんなに気合いをいれていた。
「そっちの機体、窓が汚れてるぞ」
救助艇格納庫ではアインが指揮している。
「おら!そこ片付けろ!」
整備場ではケンが怒鳴っている。
「うちは普段通りで良いぞ」
医務室ではカークが指示をする。
「さあ、綺麗にしましょう」
黒沢機関長は穏やかに機関室の掃除を始めた。
「ああ言った手前、俺もやらないとな」
スコットは、艦長室の掃除を始まる。