第2章 01. はじめて見た世界
「・・・おいっ」
―――誰がが私を呼ぶ声が聞こえる
「・・・しっかりしろよい!」
瞼を開けるが視界がぼやけており、声を掛ける人物がよく見えない。
重い頭を上げようとするとズキンと痛みが襲って来る。
『うっ・・・』
「気がついたみたいだな」
「・・・良かったよい。おい、名前言えるかよい」
『…名前……?』
「か、ナース達の所に連れて行くよい。ほら、お前らも手を貸せ!!」
私を助けてくれたのは誰だろうか。
それすらも今の私にはわからなかった。
瞳を閉じ、深い眠りに落ちていった。
『・・・ここ、どこ?』
見慣れない天井に窓から見える青い海と白い雲。ベッドに横たわっていた体を起こし辺りを見回す。
自分の部屋ではない。
しばらく呆然としていたら、扉がノックされ、白衣を着た女性が声を掛けて来る。ポケモンセンターのジョーイさんかと思ったが雰囲気が違う。
「目が覚めたみたいね。よかった。ちょっと待っててね、今隊長さん達呼んでくるから」
『・・・隊長さん?』
自分の体を見回した。特に怪我をしたわけではないが頭が割れるように痛い。
―――私は確かゲーチス様たちといたはずなのに。ここは・・・どこ?
慌ててポケットに入っている物を確認し、ホッと息を吐く。
『私の大切なポケモン達、無事で良かった・・・』
一筋の涙を流しながら赤白色の丸いボールを大切に抱え込んだ。
しばらくすると先程の白衣の女性が数名の男性達を引き連れて私の元にやって来る。
細身で妙な髪型の金髪の男性と黒髪と顔にそばかすがある男性、そして金髪リーゼントの男性だ。
「大丈夫かお前、いきなり空から落ちてきて驚いたぞ。マルコに感謝しろよな」
「別にいいよいエース。それよりお前は何者だよい。どうして空から落ちてきた。お前は空島の人間かよい?」
空から落ちてきた?と頭を悩ませる。
『えっと・・・私は』
「おいおい、お前ら嬢ちゃんを苛めるなよ。脅えてるだろうが。あ、俺サッチって言うんだ。よろしくね~」
『あ・・・はい、初めましてと申します』
「ちゃんか~、可愛いね」
サッチさんは女性に優しい人のようだ。厳つい男性達かと思ったが私の事を心配してくれる優しい方々のようで胸を撫で下ろす。