第9章 シャルルの決意
シャルルはちょっと涙ぐんでいる様に見えた。
「小僧、手が止まってるっ!」
「分かってるよ!」
ローズに叱られてしまった。
(ったく、どこでも見えるのかよ?)
「ダットンさん、ありがとうございます」
シャルルは頭を下げて仕事に戻った。
「随分と礼儀正しい嬢ちゃんじゃな…
ここにいてローズに影響されなきゃ良いけどな」
ダットンが嫌味を言った。
「やかましいわ!
ジジィは黙って呑んでろ!」
ローズは怒鳴り飛ばした。
そんなこんなで今夜も無事に閉店した。
「さっさと片付けるんだよ!
それとシャルル、部屋は片付けてないから今夜は宿にでも泊まりな」
「だったら、うちに泊まりなよ」
ティアナが誘った。
「本当に?良いんですか?」
シャルルは耳をピョコピョコさせている。
嬉しそうだ。
「明日は仕入れにも行ってもらうから、明けたらすぐに来るんだよ」
やっぱりローズは、シャルルも俺と同じ様にこき使う気でいる。
「本当にここで良いのか?まだ間に合うぜ」
俺は再度シャルルに確かめた。
「はい、ここが良いです
ローズさんも猫さんもティアナさんも、皆さん良い人ばかりですし、ここなら魔法使いでも普通に暮らせますから!」
(ローズは良い人って言えるのかは別にして…)
「シャルルが決めたんなら良いか…
…ん?ところで猫さんって、俺の事か?」
「はい、好きに呼んで良いと…
ダメですか?」
上目遣いで耳がピョコピョコしている。
(やっぱり可愛いなぁ…)
「まぁ呼びやすいならそれで良いよ」
ちょっと訳ありだけど可愛い仲間が増えたって事かな。