第9章 シャルルの決意
店に着くと中から、ローズの怒鳴り声が響いた。
「死にたくなかったら、とっとと出てお行き!」
(何か物騒な事、言ってるな…)
「ひぃ~っ!!」
ローブを纏ったひ弱そうな男が悲鳴を上げながら逃げて行った。
どう見ても客じゃない。
俺は慌てて店に入った。
「ローズ!
何だ、今のは!?」
「小僧か…
魔法銀を安く売れとか言うから追い出しただけだ」
ローズは仁王立ちしていた。
「魔法銀?俺が採ってきたやつか…」
「魔法銀は貴重だからな
魔法使いなら喉から手が出るくらいに欲しいだろう…」
ローズは平然と言って退ける。
「ここに魔法銀がどっさりあるって噂になってるから…
しかし、ローズの店に押し入るなんて命知らずな奴ね」
ティアナが笑いながら入ってきた。
「ティアナさん、それ、笑い事じゃないですよ!」
続いてシャルルも…。
「ん?…誰だい?そのウサ人種は?」
ローズがシャルルに気付いた。
「冒険者の役所で知り合ったシャルルだ」
「シャルルと申します」
シャルルは礼儀正しく一礼した。
「ほう…冒険者にしちゃあ礼儀があって良いね」
ローズは好印象の様だ。
「…で、あんたもうちで働くのかい?」
早速、こき使う気でいる。
「私は魔法の事を伺いたくて来ました」
シャルルはローズの言葉をあっさりスルーして用件を言った。