第6章 銀に釣られて…
記憶の魔法道具とは、言わばビデオカメラみたいな物…。
額に貼付ける事で本人が見た光景を記憶する魔法が込められているらしい。
「へ~、便利なもんだな
それは他にもいろいろ使えそうだ」
「小猫ちゃん、何にも知らないのね
記憶の魔法道具は、王立魔法委員会しか使えないのよ
かなり特殊な魔法だし、魔法道具も簡単には作れないの♪」
(ガブリ)エルは事あるごとにウィンクをしてくる。
「そ…そうか…
それは残念だな」
(ガブリ)エルと話している間にティアナは銀を全部回収していた。
「さぁ帰りましょ♪」
超が付くくらいご機嫌だ。
「ふぅ…これだけあれば、ローズも納得するだろう」
(でも、ティアナの分は…)
「猫左衛門、いっぱい採れてよかったね♪」
ティアナは意外と素直に銀を俺に渡した。
(あれ?金に目がないんじゃなかったのか?)
「小猫ちゃん、私の報酬は預けておくわね
また一緒に冒険しましょ♪」
ゾクゾクッ!
何か今までで最大の寒気がした。
「ちょ、ちょっと待て…
報酬なんて聞いてないぞ!」
冒険者の報酬はランクに合わせて上がっていく。
Aランクともなると桁が違うと言う。
「それはティアナに聞いてね
キスなら、それだけで良いわよ♪」
(ガブリ)エルは俺に向かって投げキスをした。
「…出世払いでお願いします」
投げキスを避けて、頭を下げた。