第6章 銀に釣られて…
「それじゃあ、先に進むか…」
俺達は何度もモンスターと戦いながら、鉱山の地下三階を目指した。
「…こんな雑魚ばかりじゃつまらないわね」
(ガブリ)エルはさすがAランクだけあって余裕だ。
「しかし、エルの剣は細いのに良く切れるなぁ」
「当たり前よ
これはダットンの傑作なんだから!」
俺は耳を疑った。
「ダットンって…
この間会ったじいさんの事か?」
俺はティアナを見遣った。
「そうよ
ダットンって、ここじゃあ有名な鍛冶師なんだから」
俺には単なる偏屈じじぃにしか見えなかったが…。
「小猫ちゃんも剣を作ってもらったら?」
(ガブリ)エルがウィンクした。
背筋がゾクッとする。
「お、俺には暁丸があるから…
まだ、抜けないけどな」
俺は苦笑いで腰の暁丸に手を掛けた。
「その細い棒って剣だったの?
抜けないって呪いか何か?」
(ガブリ)エルは首を傾げた。
「俺が不甲斐ないだけだよ」
『その通りだ』
暁丸が突っ込む。
「すぐに使えるようになってやる」
俺が暁丸に言い返すと、二人が不思議な顔をした。
「誰に話してるの?」
(しまった、暁丸の声は聞こえないんだ)
「あ…えっと…独り言…」
二人は何かヒソヒソと話して、俺を白い目で見た。
ああ…変人扱いだな、こりゃあ…。