第3章 紅の銘刀
『やっとやる気になったか?』
また、あの声だ。
「…ローズ、変な声が頭に響くんだけど?」
「…変な声?そんな事も分からんのか…
ダットンに聞いてないのか?」
「ダットンに?
………まさか…」
俺は腰の刀を手に取った。
『小僧、やっと気付いたか』
「小僧、小僧って、俺はもう25だって…」
俺が反論すると…
『25くらいじゃ赤ん坊と変わらん』
「小僧は小僧だ」
刀とローズにダメ出しされた。
凹むなぁ…。
「小僧、剣と話すのは店が終わってからにしな」
どうやらローズは刀の声が聞こえる様だ。
「はいはい、開店しましょう…」
ガンッ!
「『はい』は、一回で良いって言っただろ!」
またローズのフライパンの洗礼を受けた。
「痛いっすよ!」
「獣人なんだから、これくらい何ともないさ」
ローズはしれっと言い放つ。
(このババァ、普通の人間だったら死んでるぞ…)
開店すると、真っ先にダットンがやって来た。
「猫坊主、剣は抜けたか?
抜けたらすぐ持って来い!」
「相変わらず珍しい武器には目がないね
もっと飲んでもらわないと割りが合わないよ」
ローズが嫌みを言う。
「強突くババァに言われたかないが…、猫坊主、ビール持って来な」
何だかんだ言いながら仲は良いようだ。