第12章 必殺技と回復魔法
今にも掴み掛かろうとするガタイのいい冒険者と金髪姉ちゃんの間にティアナが割って入った。
「なんだ!?てめえはっ!?」
「…あなたは、さっきの?」
金髪姉ちゃんはティアナに気付いた。
「この娘は私の友達なの!
待ち合わせしてただけだから、ごめんあそばせ!」
ティアナは冒険者の股間を蹴り上げ、金髪姉ちゃんの手を引いて酒場から抜け出した。
ティアナは本当に無茶をする。
俺達は大騒ぎになった酒場から馬車乗り場まで走った。
「はあ…、ここまでくれば大丈夫ね」
「…また助けて頂いて、ありがとうございます
私はソフィアと申します」
金髪姉ちゃんはソフィアと名乗り頭を下げた。
「私はティアナ、彼は猫左衛門よ
…ソフィアって酒場には似合わない格好だけど冒険者なの?」
「私は……、人探しの旅をしています」
ソフィアは少し間を開けてから答えた。
「人探しねぇ…
ソフィアのその格好、それは聖職者のローブじゃないか?」
俺にはゲームに出てくる僧侶のローブに見えた。
「はい、クリアルス教の神官をしてました」
「クリアルス教って?」
ティアナに顔を向けた。
「クリアルス教国って、北方に宗教国があるんだけど、そこの教えよ
でも、あの国は…」
ティアナは言葉を詰まらせた。
「はい…、クリアルス教国は鎖国をしているため、基本的には出入国は出来ません
私はもうあの国へは戻れないでしょう…」
ソフィアは顔を伏せた。
「神官だった人が国の決まりを破ったんじゃ、ただじゃすまないでしょ?
それ程の相手なの?その探してる人?」
ティアナが心配そうにソフィアの顔を覗き込んだ。