第12章 必殺技と回復魔法
金髪姉ちゃんは俺達に何度もお礼を言って街の方へ去って行った。
「あの姉ちゃん、何でこんな所にいたのかな?」
「さあ?山牛狩りには見えなかったけど…」
俺達はまだ時間があったので山牛を更に二頭倒し、ティアナの予定通りとなった。
「今日は十分稼げたわ!」
「一頭は依頼分だけど、残りの二頭はどうするんだ?」
山牛はそのままでは価値は低いらしいが、捌いた肉は超高級品と言う。
「もちろん、ローズに捌いてもらうわよ」
「いきなりそんな事言ってやってくれるのか?」
「山牛は超高級品なのよ
ローズの店で使う分をあげても全然平気だから!」
仕留めた山牛は専門の運び屋に任せ、俺達はドートスに戻った。
とりあえず酒場に立ち寄ると何やら騒ぎとなっていた。
「何だとぉ!このアマッ!」
ガタイのいい冒険者が声を荒げていた。
「…だから、あなたでは役不足です」
相手はあの金髪姉ちゃんだった。
「役不足だと!?俺を誰だと思ってるんだ!?
この街で一番のBランク冒険者だぞ!」
「ふぅ…、そういう事ではありません
人として役不足だと言ってるんです!」
あんな華奢な姉ちゃんが、荒っぽい冒険者相手に啖呵を切ってる。
「ティアナ、止めるか?」
「…冒険者同士の喧嘩なんか放っとけばいいんじゃない?」
ティアナの言うことは分かる。
冒険者の大半は血の気の多い連中だから、ちょっとした事で喧嘩になる。
が、彼女は冒険者にしては身なりが良すぎる。
「なあ、あの姉ちゃんのあの身なり、モンスターのこともあるし助けたら謝礼貰えるんじゃないか?」
謝礼の言葉にティアナが反応した。