第12章 必殺技と回復魔法
医務室を出ると訓練所の出口に向かう。
「しかし、回復魔法って便利だよな
いとも簡単に体力を回復しちまう」
「猫左衛門のいた世界には魔法がないんでしょ?
回復はどうしてたの?」
ティアナが首を傾げる。
「寝るか?食べるか?温泉か?ってとこだな
俺のいた世界で回復魔法なんてあったら24時間働かされるよ」
俺は苦笑いで答えた。
「それより、誰か回復魔法を使える知り合いはいないのか?
仲間になってくれれば何か依頼があった時、助かるだろ?」
「そんなに都合良くいかないわ
回復魔法を使える人は多いけど、ほとんどの人が医療関係者よ
冒険者で回復魔法を使える人は貴重だからフリーの人はいないわ」
ティアナは首を横に振る。
「やっぱり、そんなに甘くないか…」
ゲームなら最初から回復役がいたりするんだが、たしかにティアナの言う通り貴重な存在だよな。
一応、回復薬はあるが回復量は魔法に比べたら少ない。
「…あっ!シャルルは回復魔法使えないかな?」
「シャルルは風属性でしょ?
補助魔法はあるけど回復魔法は聞いた事ないわね」
他に魔法使えるのは(ガブリ)エルか?
「エルは無理だよな?」
「うん、無理!」
即答だ。
これから戦闘を伴う依頼には気を付けた方が良いのかもな。
『回復なんかせんでも先手必勝で勝てば良いではないか!?』
暁丸が割り込んできた。
(そんな簡単にはいかないだろ?
多勢に無勢って時もあるし…)
『そんな軟弱な考えではまだ使わせる訳にはいかんな』
全く、いつになったら使えるんだ?こいつは…。