第4章 交錯する想い
合宿6日目、夜――。
第3体育館は、もうすっかり夜になっているのにも関わらず熱気で溢れかえっていた。
昨夜の続きである3対3を2セットほど終えてから休憩を挟んでいれば、黒尾が日向と月島に声を掛ける。
「あ、ちなみに、スパイカーと1対1の時は基本的に相手の”身体の正面”じゃなく”利き腕の正面”でブロックするといいぞ」
「おぉーっ!!」
喜ぶ日向を余所に、月島が不思議そうに口を開く。
「あの…一応…僕ら試合になったら敵同士ですよね、どうしてアドバイスまでしてくれるんですか?」
「ボクが親切なのはいつものことです」
後光のオーラに包まれながらそういう黒尾の背中を、なまえがばしんと小突いた。
「イテッ」
『引かれてるから』
日向と月島の軽蔑の視線といったら、もう。
「なにもそんな目でみなくても」
「「・・・」」
「…”ゴミ捨て場の決戦”ってやつをさ、何とか実現したいんだよね」
「「!」」
「ウチの監督の念願だし、けど監督はあとどんくらい現役で居られるかわかんねーしさ。それにはおまえら(烏野)にも勝ち上がってきてもらわなきゃなんねえだろ。……まぁ俺の練習でもあるわけだし細かいこと気にすんなっつーの」
照れ隠しをするように「ホレ練習練習~」と続けた黒尾の背中を、二人は慌てて追いかけたのだった。