第2章 太陽と月の出
「…自主練に付き合ったお礼を言いに来てくれただけですよ」
『馬鹿な主将のこと謝りに行ったの!てゆーか、元々はクロが気にしてたんだよ』
「黙らっしゃい」
『あんたが余計なこと聞くからでしょ』
仲良さげに話す二人を見て、幼馴染だということに改めて納得する。
「あーよかったよかった!なまえちゃんとツッキーが、実はできちゃってましたーなんて言ったら俺ショックで寝込むところだったわ~!!」
木兎の発した一言に、月島の顔がぼっと音を立てて赤くなる。
「っは!!」
「なになに、ツッキー照れてんの?」
「…黒尾さんまで、ツッキーってやめてくださいよ!」
「いーじゃん、明日から自主練仲間だろ?仲良くしよーぜ」
にたり顔で言う黒尾に、月島が顕著に顔を顰めていれば。
「…ご馳走様でした」
ぴしゃりと会話を遮るように、赤葦が言った。
「早くしないと、食堂閉まりますよ」
ぽかんと口を開けている黒尾と木兎にそう促せば、二人は焦って残りのご飯をかきこみ始めた。赤葦は席から立ち食器をテキパキと片し始める。
そんな赤葦を見ながら月島は、自分の中にあった”なんとなく”が、確信に変わったのを静かに感じた。