第1章 きみを見つけた日
――翌日。
朝から練習が始まるも、烏野はどうやらぎくしゃくしているようだ。
調子も昨日に比べて悪いのか、結果は全敗。
そして二日間の遠征日程を終え、次回この五校が集まるのは、二週間後の夏季合宿となる――。
『烏野の変人速攻、すごかったなぁ』
烏野のバスを見送り、なまえがそうこぼした。
「いやー、今年はおんもしろくなりそうだよなぁ!」
隣にいた木兎が続く。
「でもよー、今日はちと調子が悪かったように見えた」
黒尾の言葉に、二人は確かにと納得した。
『まだ未完成っぽいよね、烏野は。ウチも梟谷も、割ともう完成してるチームじゃん。けど、烏野はまだ発展途上ってかんじ』
「さすがなまえちゃん!たとえがウマイ!!」
「発展途上ねー。なーんかしっくりくるわ」
納得したように頷く黒尾に向かって、木兎が口を開く。
「じゃ、黒尾となまえちゃ」
「やだ」
「まだ何も言ってねーじゃん!!」
言葉を遮るように即答した黒尾に、ぶすくれる木兎。彼の言わんとしていることはわかりきっているのだ。
『いいじゃん、クロ。どーせ帰っても暇なんだし』
「はぁ?おまえな」
「イエーーーイ!!ヘイヘイヘーイ!!それじゃ行こうぜ!!」
文句を言わんとする黒尾の言葉などまるで聞こえていないようだ。木兎は嬉しそうになまえの腕を引っ張って、体育館へと走って行ってしまった。
「「………はあ」」
黒尾と、そして先ほどからずっと木兎の後ろにいた赤葦のため息が木霊する。
烏野のバスが見えなくなるまで見送ったあと。この四人はいつもの如く、夜遅くまで自主練に励んだのであった。