第7章 36℃
ピリリリ、と聞き慣れたアラーム音が鳴る。
普段であれば、何度もとめては、スヌーズ機能に甘えて三度寝くらいするのだけれど。
今日は一度目のアラームで、すんなりと目が覚めた。勢いよく半身を起して、なまえは部屋のカーテンを開けた。
とてもいい天気だ。
そして。
この天気と同様、なまえの心情も実に快晴だった。
なんたって、昨日――長かった片思いがようやく実って、晴れて大好きな人と付き合う事になったのだから。
なまえは鼻歌を歌いながら、自分の部屋を出て階段を駆け下りリビングへ向かう。
『よし、今日は気合いいれるぞ』
意気込むように独り言を呟いてから、なまえはいつものように炊飯器のスイッチをいれると、戸棚から自分用のピンク色のお弁当箱と、もうひとつ、黒色のお弁当箱を取り出した。
―――この黒色の大きなお弁当箱は、クロのものだ。
クロのお弁当を作るのは、私の日課である。