第5章 05. 継子
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『継子・・・?』
継子とは何なのかと頭を傾げると天狗の面を付けている白髪の男性が障子戸を開け部屋に入ってきた。
「目が覚めたか。儂は鱗滝左近次だ」
『・・・初めまして、小雪と申します』
頭を下げると鱗滝さんは鼻を鳴らした。
「これからお前を鬼殺の剣士として育てる」
『鬼殺の・・・剣士?』
ちらりと隣で正座をし黙って話を聞いている義勇さんに視線を向ける。黒髪蒼眼で眉目秀麗、冷静沈着。良く見ると絵に描いたような美少年だった。
「俺の仕事は鬼を斬ることだ」
『・・・っ!鬼・・・』
里を襲った人喰い鬼の姿を思い出し顔を青ざめ身体を震わせる。鬼は人間を殺して喰べる。いつ何処から現れたのかは不明であり、身体能力が高く傷などもたちどころに治るらしい。体の形を変えたり異能を持つ鬼もいるそうだ。鬼を殺す方法は太陽の光か特別な刀で頸を斬り落とさない限り殺せないと。
「鬼殺隊は生身の体で鬼に立ち向かう。人であるから傷の治りも遅く失った手足が元に戻ることもない。それでも鬼に立ち向かう。人を守るためにだ」
『ーーー人を守るために』
その言葉に胸の奥が鳴った気がした。
「儂は育手だ。文字通り剣士を育てる。育手は山ほどいてそれぞれの場所、それぞれのやり方で剣士を育てている。鬼殺隊に入る為には藤襲山で行われる最終選別で生き残ならければならない。最終選別を受けていいかどうかは儂が決める」
説明を受けた私は顔を俯けた。
「・・・どうする小雪」
義勇さんは思っていたより優しい人のようでこんな私の事を気に掛けてくれているらしい。ーーーどうする。そんな事は決まっている。
その場で正座し深々と頭を下げる。
『私の命は冨岡義勇様に救って頂きました。どうか私を継子としてご指導を賜りますようお願い申し上げます』
この日から水柱の継子として育てられる事となった。