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【鬼滅の刃】氷雪の華

第3章 03. 生き残った者


[03. 生き残った者]

脳裏をいくつもの情景が過った。両親との思い出、里の皆、そんな情景が次々と浮かんでは消えていった。思い出すだけで胸が張り裂けそうになる。
『ーーーうっ!』
泣いても喚いても愛する両親は戻っては来ない。目が覚めるとそこは冷えきった洞窟だった。傷だらけの冷えた身体には詰襟の上から、右半分が無地左半分が亀甲柄の羽織が掛けられていた。腕には包帯が巻かれている。誰かが手当てしてくれたのだろうか。痛みは酷かったが、血は然程出ていない。
「目が覚めたか」
『ーーーっ!?』
慌てて起き上がると人喰い鬼に襲われそうになっていた私を助けてくれた黒髪の男性がこちらにやって来る。深い水色の刀身には赤い血の雫が滴り落ちていた。
「これからどうする?」
その問いに震えていた唇を噛み締めた。苦痛に負けて死を選ぶのか・・・。ーーーいや
『私は・・・知りたいです・・・っ』
里の人達を襲った人喰い鬼とは何者なのか。何故人を襲い喰らうのか。本心は何も知らないまま死ぬのは嫌だった。只で死んでやるつもりは微塵も無い。無残々々殺されるくらいならば憎むべき相手を道連れにしなければ気が済まない。震える声で告げると男性は一瞬だけ微笑んだ。
「お前、名は?」
『・・・小雪』
「俺は鬼殺隊の冨岡義勇だ。行くぞ、着いて来い」
『・・・・・冨岡・・・義勇』
寒さと恐怖から震える口元をゆっくりと開き名前を呟く。震える身体を起こし彼が羽織っていた羽織を握り締めながら後を追い洞窟を出た。ざくざくと雪を踏み締めながら真っ白な世界に血を滴らせた。
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