第8章 傍に居て、抱き寄せて【R18】《宇髄》
「……」
薄日がカーテン越しに滲み、今は朝だと理解する。
背後からがっちりと抱きしめられて、頭の上には彼の顎があり、寝息が聞こえる。
身動ぎすれば肌と肌が擦れ合って人肌が気持ち良くて離れがたい所だが、そろそろ起きようかとシーツの上を探る。
手の届く所に昨日着ていたスエットの上を見つけて、だらりと私の上に乗った腕をそっと下ろして、スエットを被る。
下も履きたい所だが見当たらないので仕方ないとして、彼を起こさないように、這うようにベッドの端までたどり着いた。
片足を床に着けた所で、背後からもぞもぞと身動ぎする音と気の抜けたふぁ、と言う欠伸が聞こえる。
「もう朝か…」
「おはようございます」
気だるげに上半身を起こした彼は寝ぼけ眼でおはよ。と返事をする。
窓のカーテンを開ければ外は良いお天気だ。
彼のほうを向いた私は彼の腕を引っ張る。
「今日は忙しいですよ。まず脱衣場にある二人のびしょ濡れのスーツをクリーニングに出して、前から行きたかったカフェで遅めの朝ごはんにするんですよ」
ああ、でも着る服が無いんですよね…と悩んでいるとそれを見ていた彼にふ、と笑われる。
「みさ」
「え?」
突然、引っ張っていた腕を逆に引っ張られてシーツの上に引き戻される。
不意討ちで唇を奪われて、微笑んだままの彼を見上げる。
「朝飯もいいけど、まずは…」
スエットから伸びる太ももをなでられて、そのままその指がお尻の丸みに沿って動く。
「こっちを食べてから」
「!?」
天気の良い日曜日、この後二人がどう過ごしたかはご想像におまかせする。
End.