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鬼滅の刃◆短編【R18】

第5章 この手を掴んだら、最後【R18】《不死川実弥》




「不死川さん、起きて下さい」

ゆらゆらと肩を揺らせば彼は重い瞼を開けた。

「朝ですよ。女将さんが、朝御飯を作ってくれましたよ?」

「あァ…」

まだ眠気の覚めない彼は布団の上にうつ伏せになり頬杖を付いて、横に座っている私を見た。

「…お前には、余韻ってもんは無ェのか?」

彼より早く起きて、既に隊服をきっちりと着こなした私が、彼はどうやら不服らしい。

「…だって朝には此処を出るって話だったじゃないですか…女将さんにも悪いですし」

何で私がこんな言い訳めいた事を言わなければならないのか。

だいたい、私は彼よりも早く起きて、寝ぼけて抱きしめてくる彼の腕に抱かれながら
寝顔をまじまじと眺めたりしてしまったのだ。
…決して余韻に浸らなかった訳ではない。

そこまで思い出して頬に熱がこもるのを感じる。

「なァ、身体は平気なのか?」

「あ…平気ですよ…」

まだナカに彼が入ってる様な違和感みたいなものはあるけれど、そんなの口に出せる訳が無い。

昨夜を思い出して更に頬が熱くなった気がする
悟られたくなくて視線をそられば、彼の指が頬に触れる。

「不死川さ…」

するりと耳に触れた指先が、耳の外側をなぞるからピクリと身体が震える。

「あー…ついに、手ェ出しちまったな」

後頭部に手が回されてぐいっと彼に引き寄せられた。
吐息が届く距離に彼がいる。


私を見つめる彼は
いつも、こんなにも甘い顔をしていたのか。

過去の自分に言ってあげたい
彼の事をこんなにも好きだって事。




end


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