第4章 送られオオカミ【R18】《義勇》
目を醒ますと見慣れない天井に
みさはびっくりして身体を起こした。
胸に乗っていた重いものがお腹辺りにずり落ちて
それが腕だと認識するまでに時間が掛かった。
すぐそばで身動ぎする気配に横を向けば
富岡の顔がそこにあって
みさは頬を染めた。
富岡の睫毛がピクリと動いて
うっすらと藍色の瞳が覗く。
お腹に置かれた手がみさの肩を掴んでそのまま後ろに倒されると富岡の腕に頭が乗る。
「桜田…寒いから布団に隙間作らないで」
布団を掛けられ、身体を傍に寄せられて髪を撫でられる。
「…私、あのまま寝ちゃったんでしょうか…?」
周りを見回せば布団の傍には、二人の衣服が散乱したままの状態。
「…ん、そう」
まだ寝ぼけている様な富岡は眼を瞑ったまま
みさの額に頬を擦り寄せた。
窓から射し込まれる光は明るく、もう朝はとっくに過ぎている気がして時計を探すけれど身動きが出来なくて見つけられず。
「富岡さん、もう外は明るいですよ?」
仰向けから富岡と向き合うように体勢を変えて
富岡の頬の片方を優しくつねってみる。
「富岡さーん」
富岡の伏せられた瞳がうっすらと開くと
ついばむ様な口付けをされる。
「桜田…もう名字呼び禁止」
「………義勇さん?」
呼んでみて気恥ずかしさにみさの頬が熱くなった。
そんな様子を見て満足気に富岡は微笑む。
「みさ…可愛い」
腰に腕を回されて身体を密着させられると太ももに硬いものが当たる。
「…せっかくだから、酔ってなくても俺が甘いかどうか確かめてみる?」
「わ、私もう十分です…身体が力入らない…」
「みさが寝ちゃったから、俺、完全不燃焼なんだよね…」
すっかりスイッチの入った富岡に押される様に熱い口付けをされれば、再び身体が熱くなるのが分かった。
今日は布団から出られなくなりそうだと思いながら熱に身を任せた。
end