第2章 夢を見ていたい。
いつの間にか、外には静かな夜が舞い降りていた。
さっきまで騒いでいた善逸達も、凛がお風呂から上がった時には静かになっていた。
「禰豆子…起きてる?」
「むー!」
小声で聞くと、それ以上の元気な声と同時に禰豆子がとんできた。
どうやら、凛がお風呂からあがるのを待っていたみたいであった。
「禰豆子は鬼なのに人を全く食べないの?すごいね。」
「ふんふん」
言葉を喋れない禰豆子の言いたいことを理解するのは、初めはどうしようかと思った。
しかし、表情豊かで思ったよりも伝わる。
何か言いたいことがありそうな時は、瞳を使った。
「炭治郎のこと、大好きなんだね」
炭治郎の事を思っている時の禰豆子は楽しそうであった。
尊敬、親身の情、愛。
様々な色が見えるのだ。それも全て、優しい色味。
“敵意”なんて全く見えなかった。
「禰豆子、みんなのとこで寝ない…?」
凛と禰豆子は女子部屋に分けられていた。
しかし禰豆子はいつも炭治郎と、凛は今まで伊之助と寝ていたため、少しばかり寂しいのである。
「ふん!ふんふん!」
乗り気な禰豆子に引っ張られ、みんながいる部屋に入る。
禰豆子はしゅうう、と小さくなり、炭治郎と善逸の間に入り込む。
「んん…」
と炭治郎の呻く声が聞こえた。
凛は小さくなるわけにもいかず、そのまま伊之助と善逸の間に入った。
「おやすみ、禰豆子」
「む~…」
光を消すと、あっという間に部屋が暗闇に包まれた。