第2章 夢を見ていたい。
「炭治郎、誰も聞かないから俺が聞くけどさ…鬼を連れているのはどういうことなんだ?」
鬼を連れる鬼殺隊なのか、炭治郎は。
襲う鬼ではないのだろう。
炭治郎が連れているのだし、襲うならもう襲われているはずだ。
「善逸は本当に良い奴だな、ありがとう」
「おまっ!そんなの褒めても仕方ねえぞ!うふふっ、えへへへへっ」
善逸は顔を茹でダコのように染め、いかにも嬉しそうに転げ回った。
「俺は鼻がきくんだ。最初から分かってたよ、善逸が優しいのも、強いのも。」
「いや、強くは…」
さっきの嬉しそうな顔から一気に冷めた顔になった善逸の言葉を遮るように、凛は口を挟んだ。
「私にも見えてるよ、善逸。」
「見える…?凛も何か特殊な力を持っているのか?」
「炭治郎みたいなのでは無いんだけど…目に全意識をかけると、見えるの。その人の感情とかが見えてくるの。」
普段は、よっぽど強い感情じゃない限り特には何も見えない。
でも、“見る”ことに集中すると、様々な色が浮かんでくるのだ。
「善逸からは優しさの色と強さの色が見えるんだよ。大丈夫、善逸は強いよ!」
凛がここまで言ったのにも関わらず、眉間に皺を寄せて疑いの目を向けていた善逸も、ふっと笑った。
「凛ちゃんがそう言うなら…ちょっと出来るのかもしれない…」
凛は人に自信を持たすことも出来るのか、と感心する炭治郎であった。
その時、ガタガタっと箱から音が鳴った。