第10章 再会が必ずしも良い事とは限らない
それは小さな部屋の中だった
……ここはどこ?
何も見えない…何も聞こえない。
暗闇の中で誰かが私の腕を引っ張る
- お前はそこにいるべき人間じゃないんだ -
あなたは…誰なの?
- さぁ、こっちへ来るんだ -
いや…イヤだ!!
やめて離してッ!!
- 結衣…いつか必ず後悔することになるぞ -
その酷く恐ろしい目を…私は知っている。
- お前は結局…誰も護れないんだ、愛する者さえもな -
「結衣、」
『ッ!?…』
ガバッと布団を捲り上半身を起こす
荒い呼吸を整え、辺りを見回すと見慣れた部屋が視界いっぱいに広がった
『…夢…か』
袴に着替え、部屋を出た私はまだ眠気の残る目を擦りながら縁側を歩いた
『さ、寒っ…』
10月にもなるとさすがに朝は冷える
まだ日も昇ってないし、…もうすっかり秋だ。
少し小走りで私は今日の仕事の担当が書かれているボードの場所へ向かった
ボードの前にはすでに何人かの隊士達がいて、私はその中の1人に声をかけた
『おはようございます、山崎さん』
「あ、おはよって…えーっ!?結衣ちゃんが寝坊してない!」
『いや驚き過ぎでしょ!!私だって早く起きる日くらいありますよ』
「いやでも物凄い確率だよね」
山崎さんの言葉に否定はしなかった
『…今日はたまたま目が覚めたんですよねー』
「…」
そう言って笑う私の顔を山崎さんはじっと見つめた
『…どうしたんですか?』
「結衣ちゃんさ…もしかして泣いてた?」
『えっ…』
泣いてた…私が?
「いや…涙の跡があったからそうなのかなって。何か怖い夢でも見たの?」
夢…?
- いつか必ず後悔することになるぞ -
『み…てないですよ!それに仮に怖い夢を見たとしてもさすがにこの歳になって泣いたりなんてしませんよ〜』
「でも目も腫れてるし…」
『それはきっと寝起きだからですよ、これも泣いたっていうか欠伸した時に出た涙の跡ですし!』
「…そっか。…ならいいんだ」
『そうですよー』
そう言って笑うと山崎さんも心配そうな顔から安心したような顔に変わった
『えっと今日の仕事はー…っと…』
目線を山崎さんからボードに移し、自分の名前を探した