第9章 何気ない事で人の心は動かされる
ピピピッ
ピピピッ
ピピピピピピピピピ
『うるさぁあああい!!』
ガシャンッと音を立てて静かになった目覚まし時計
そのまま布団から起き上がるとその目覚まし時計は大変可哀想なことになっていた
まだ完全に目が覚めてない私はゆっくりと布団から出てとりあえず隊服に着替えた
縁側に出ると隊士達が慌ただしく動き回っている
『…なに、今日何かあったっけ?』
「あ、結衣ちゃん!やっと来た」
名前を呼ばれ振り向くと山崎さんが焦った様子で駆け寄ってきた
『おはようございます山崎さん』
「おはよう結衣ちゃん…じゃなくて!!何落ち着いてんの!早く準備して!」
『え?準備って、まだ6時前じゃないですか。私見回りまでまだ3時間もあるんですけど』
山崎さんはそんな私を見つめ溜息をついた
「結衣ちゃん、今日は6時から会議だよ」
『…。』
し、しまったあああ!すっかり忘れてた!!
『どどどうしよう山崎さん!こんな寝癖酷い寝惚けた顔でみんなの前になんか出られない!!』
「いやもう手遅れだと思うよ」
『ちょ、どういう意味ですか!!』
"いいから早く"と言って山崎さんは私の腕を引っ張る
『いやいやいや!!せめて寝癖だけでも直させて下さいよ』
「大丈夫、結衣ちゃんはそのままで十分可愛いよ」
『あ、今絶対適当に言いましたよね!?女の子は髪の毛は命の次に大事なんですから…グえっ』
「どこに女がいるんでィ、雌豚の間違いだろ」
ドンッと背中を蹴られ床に倒れる私を見下ろすのは今この寝癖頭を見られたくない人ナンバーワンの沖田隊長だった
「早く行かねーと1番隊全員が土方さんのお説教食らうことになるんでィ」
『ゔ…』
「さっさと行ってそのヘンテコな髪型十分に晒して来なァ」
くッ!な、何て上司なんだ!!
憎々しい表情を浮かべながら会議室に入っていく沖田隊長を睨んだ
そんな私を見つめ山崎さんは少し照れ臭そうに言った
「で、でもさ。俺…結衣ちゃんのそういう、ちょっと女子力の低い所とかも結構好きだよ」
『殴られたいんですか』
「あれ!?」