• テキストサイズ

星の砂✩【銀魂】

第7章 認めたくない事実もある


次に目を覚ますと茜色の空が目に映った

『わ、もうこんな時間か…』

まだ少し怠さの残る身体を起こし熱を測ると37.5℃まで下がっていた

『これくらいなら…大丈夫かな』

「何が大丈夫なんですかィ?」

急に後ろから声がして振り向くと沖田隊長が襖にもたれるようにして立っていた

『お、沖田隊長!なんで…』

「ザキからお前が死にそうだって聞いたんで、最後に上司として看取るくらいはしてやろうと思ってな」

山崎さんん!!何言っちゃってくれてんの!
ていうか看取るって何!何の優しさ!?

『そ、そうだったんですか…それはどうも』

立ち上がり軽く会釈して沖田隊長の横を通りすぎようとしたとき腕を掴まれた

『!?』

「どこ行くんでィ…そんな身体で」

『…か、厠ですよ!ずっと我慢してたんです』

「…」  

『それに昼間よりは大分良くなりましたし…もう全然大丈夫ですから…』

そう言って笑うと沖田隊長は何も言わず掴んでいた腕を離した

その様子に少し違和感を覚える

やっぱり最近の沖田隊長の様子はどこかおかしい。
今だって私と目を合わせようとすらしない。


「もうすぐ夕食だから、早く着替えて食堂に来なせェ」

『あ…はい』

それだけ言って沖田隊長は部屋を出て行った


私は言われた通り寝間着から袴に着替え、食堂へ向かった

食堂には隊士達が賑やかに夕食を食べながら盛り上がっていた

「結衣、気分はどうだ」

マヨ丼片手に土方さんが私の隣に腰掛けた

『おかげさまで良くなりました…すみません今日は…』

「気にすんな、元々オフだったしブッ倒れられたほうが困るだろ」

『確かに、そうですね』

「どうした、元気ねぇじゃねーか」

『えっ!あ…』

土方さんは…今日のこと。

『副長…副長は…今日が何の日か覚えてますか』

私の言葉に土方さんは黙ったまま静かに頷いた

『そうですか…良かった』

「…」

『私…近藤さんや土方さんが平河隊長のこと… もう忘れちゃったんじゃないかって思って…』

「忘れねェよ…」

土方さんは箸を置き、私を真っ直ぐに見つめた

「俺だけじゃねェ、皆今まで命を落としてきた仲間全員…1度だって忘れたことねーさ」

『ッ…』

そう言った土方さんの表情があまりにも優しくて…とうとう堪えきれなくなった涙が私の頬をそっと伝った
/ 300ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp