• テキストサイズ

星の砂✩【銀魂】

第25章 人は試練を乗り越え強くなる【真選組女中編⑤】


いつもより真剣な顔の沖田隊長に私は思わず後退りし、ゴンドラの窓に背中をぶつけた

そうだ…考えたら私今、沖田隊長と2人きりなんだ…。

『沖田隊長…私ッ…』

「…静かにしろィ」

私の顔の横に手をつく沖田隊長と未だかつてないほどの距離に私は心臓の動きが急激に早くなるのを感じた

どうしよう…

彼の瞳から目を逸らすことが出来ない…。

『沖田隊長…』

私は一体…。

『ッ!』

お互いの前髪が触れ、ぎゅっと目を閉じた次の瞬間、

「そのままじっとしてろィ」

『…え?』

いつまで経っても何も起きない状態を不思議に思いパチッと目を開けると沖田隊長は私の後ろの窓を黙って凝視していた

『…あの…沖田隊長?』

「大石、どうやらテメーの考えはあながち間違ってなかったみてェだぜ」

『え?』

「見えるか…あのゴンドラに乗ってる奴…」

沖田隊長の視線の先を横目で見ると、丁度私達が乗っているゴンドラの隣に見覚えのある人物の姿が映った

『ホシですか…』

「人相は情報と一致してる、増してや野郎2人で観覧車ときたらよっぽど親密な仲なのか、それとも…」

組織同士の情報交換…!

『でもどうするんですか、せっかく見つけたのに観覧車が着くまで身動きひとつ取れませんよ』

「心配ねェや、そもそも捕まえる必要はねェし…今回は情報の確認みてーなモンだって土方さんも言ってたしな」

『じゃあ、このまま逃がしてもいいんですか?』

「ま、どのみち奴ら2人はすぐに逮捕だろうが、今すぐ捕まえるのは賢明な判断とは言えねェだろ」

そうか…証拠も無しに逮捕は出来ないから副長達は敵の動向を窺ってたのか。

…じゃあ任務は…成功?

今ひとつ実感が湧かず、首を傾げていると沖田隊長が私の頭を小突き言った

「任務完了でィ、よかったな」

『…ッ!は…はい』

やばい…

目が合わせられない…。


数分後、地上に着き、先にゴンドラから降りた沖田隊長はすぐ様振り向き、私に手を差し出した

「ん、」

『!』

「何してんでィ、早く降りろ…もう1周まわりてェのかィ?」

『あっ…はい!』

慌てて彼の手を握り、ゴンドラから降りる

しかし、降りてからもその手が離されることは無かった

『…』


知らなかった…

沖田隊長の手ってこんなに大きくて

温かかったんだな…。
/ 300ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp