第22章 災難は1度や2度じゃ終わらない【真選組女中編②】
それから数時間後、すっかり日の暮れたかぶき町には夜の街らしいネオンの光が店のあちこちで灯り始めた
そして今私のいるこのお店でも…
『あ…ありえない』
「まぁ、とっても似合ってるわよその着物!普段はかなり地味な服を着てるみたいだったから着物だと何だか新鮮ね!」
『あ…そ、…そうですか。それはどうも…』
イマイチ褒められてる気がしないその言葉に苦笑いを浮かべていると突然背後から銀さんに頭を小突かれた
「オイ、んな怖ェ顔してたらいい着物着てても客なんて1人も寄ってこねェぞ」
『別に寄ってこられなくて結構です。…大体銀さんはいいよね!店の手伝いって言ってもスーツ着てその辺に立ってるだけでいいんだから』
私なんてこんな…こんな短くて脚のスースーする着物…。
鏡に映る自分の姿に項垂れる私を銀さんは宥める
「まぁまぁ、お触りパブじゃねェんだし…そう膨れるなって。お前もただお偉いさんの隣に座ってご機嫌取りしとくだけでいいってお妙が言ってただろ?」
『そういう問題じゃないよ!人に勝手に好き放題設定つけて、ただでさえ真選組隊士から女中になって苦労してるっていうのに…こんな姿、もしウチの隊の誰かに知られたら…もうお終いだよ』
「だ、大丈夫だって!お前の正体もヅラにはバラさねェようお妙に協力頼んであるし、そのウィッグに化粧で変装も完璧だ。誰もお前が大石結衣だとは思わねェよ」
涙目になり俯く私の頭にそっと手を乗せ、銀さんは微笑んだ
「安心しろ、いざって時は俺が絶対助けてやるから…な?」
『銀さん…』
「それにこの報酬は期待出来るぞ、なんつっても幕府のお偉いさんだからな」
『あ、本当のお目当てはそっちですかやっぱり』
もうこの先不安しかないんだけど…本当に上手くいくのかなぁ。
溜息をつきながらウィッグを被り直すとお妙さんが慌てた様子でこちらにやって来た
「2人とも表に出て、迎えの準備よ!」
き、来た!!!