第20章 傷は目に見えるモノだけとは限らない
秋の終わりが近づき、少し寒さの増したある日
私は原田隊長と巡回の為、江戸の街を歩いていた
『それにしても原田隊長と見回りなんて久しぶりですよね』
「ほんとにな、ったく何で隊の違うお前と仕事しなくちゃならねーんだよ」
そう言って不服そうに私を睨みつける原田隊長に溜息をついた
『仕方ないじゃないですか、沖田隊長が自分が来れない代わりに原田隊長を指名したんですから…』
「とか言っていつものサボりってやつなんじゃねーの?」
『何言ってんですかぁああ!!』
次の瞬間、私は原田隊長の顎にアッパーカットをお見舞いした
『沖田隊長はね、意味の無いサボリはしないんですよ!楽そうだったり好きな巡回ルートであれば来ますけど、それ以外は断固として動かない…そんな自分勝手な人なんですから!』
「いや、お前それフォローしてんの、それとも貶してんの?」
顎を押さえながら原田隊長は私を見上げる
『それに、隊長格は昼から明日の出撃に備えた特別会議があるって今朝のミーティングで副長が言ってたじゃないですか』
「へェ、お前がミーティングの内容ちゃんと聞いてたなんて驚きだな」
"何かあんのか?"と疑いの目を向ける原田隊長に私は両頬を押さえながら言った
『あっ、やっぱりわかっちゃいましたか!?』
「は?」
『実はですね!…』