第3章 近くて遠い恋[山崎side]
相当辛かったはずだ…
大切に思っていた人が目の前で死ぬなんてこれほど辛く苦しいことはない
『あ!もうこんな時間っ…副長に怒られちゃう』
だけど、それでも彼女は今こうして生きている
自分を鍛えるために、そしていつか大切な人を護るために
俺はもう彼女のあんな顔は見たくない…。
「頑張ってね」
例え、その想いが俺に向けられることはなくとも
『…はい!』
俺は彼女にはずっと笑顔でいてほしいと思う。
「サボりはっけーん…」
『わっ!沖田隊長…いただだだッ』
俺と結衣ちゃんの間からひょっこり顔を出して結衣ちゃんの頬を引っ張る沖田隊長と目が合った
何だか睨まれてるような…その目からは嫌というほど殺気が伝わってきた
これはあまり長く居ないほうがいいな…。
『ちょ、痛いですって隊長!!』
「おー、ちったァマシな面になったんじゃねーか?」
『どういう意味ですかそれ!!』
「整形費用浮かしてやろうと思ったんでィ、感謝しな」
『ぐッ…しばく!!』
こんな二人のやり取りもここ最近はかなり増えてきて、
何だかんだ言って仲良いんだな、なんて思ったり。
沖田隊長は最近結衣ちゃんといるとき何だかとても楽しそうだ
いつもメス豚扱いしてるけど実は彼女のこと少しは気にしているのかもしれない
「じゃあ沖田さんも来たことだし、俺は部屋に戻るよ」
『あ、はい!お疲れ様です』
沖田隊長に軽く会釈して自室へ向かった
結衣ちゃんと沖田隊長…か。
自分の気持ちなんて気にしないで少しだけあの2人を監察してみたくなった
「俺って結構仕事熱心だな…」
後ろから再び沖田隊長に怒る結衣ちゃんの声が聞こえてきた
そんな彼女を見つめ微笑む
でもとりあえず今はまだ、
このままがいいな。