第18章 約束は早くしたもん勝ち
杏子ちゃんの言葉に胸の奥がチクッと痛む
「沖田さんも見た目はイケメンと言っていいですし、女の人からもたくさんおモテになってそうですよね?」
沖田隊長がモテる…そう…だったのかな。
でも思い返せば確かに巡回中もよく女の人に声かけられてた…。
沖田隊長は顔が広いから…みんな知り合い程度なのかなとか思ってたけど…あの中には沖田隊長に本気で想いを寄せてた人もいたのかな。
私は出来ることならずっと沖田隊長の隣でこの剣を握りたい。
でももし、彼に心から本当に一緒にいたいと思える人が出来たら…
私は、どうすればいいんだろう。
俯く私を杏子ちゃんは首を傾げ見つめる
「結衣さん?」
『ごめん…私には杏子ちゃんの恋を応援することは出来ないよ…』
「えっ…」
『沖田隊長に限らず真選組のみんなが笑ってくれるなら私は例えどんなことでもすると思う…。でも…』
沖田隊長が誰か他の女の人と並んで歩く姿は…見たくない。
『沖田隊長の隣は…誰にも奪われたくない』
そう言って真剣な顔で杏子ちゃんを見つめると、彼女は目を見開き自身の口に手を当てる
「結衣さん…それは…」
『…』
「もう恋ですよ!!」
『いや違っ…!』
絶対恋だと言い張る杏子ちゃんに必死に違うと否定すると彼女は何かを悟ったように微笑む
「…まぁ、でも少し安心しました」
『…安心?』
「だって結衣さんが私の恋のライバルになるかもなんて一瞬思っちゃいましたもん」
恋の…ライバル?
『でも…杏子ちゃんは沖田隊長のことが好きなんじゃ…』
私の言葉に杏子ちゃんはクスクスと肩を震わせ笑う
「やだな~違いますよッ。それは仮の話です」
『へ?』
ちょっと待って。
杏子ちゃんの好きな人が沖田隊長じゃないなら…恋のライバルになるかもって…どういうこと?
頭にハテナを浮かべていると突然襖を叩く音がしてすぐに山崎さんの声が聞こえてきた
「2人ともこれから副長会議あるから、そろそろ会議室に来てね」
『あ、は…』
「はーいっ今行きまーすッ!」
私より先にそう返事して嬉しそうに部屋を出ようとする彼女をポカンと見つめる
『あの…もしかして杏子ちゃんの好きな人って…』
「はいッ!」
杏子ちゃんは私を見つめ笑顔で頷いた
「山崎さんです!」
えええええ!!?