【ヒロアカ】暴走する、疾風と雷のジャンクフード【上鳴電気】
第3章 幸せな非日常が交差する
俺はすとんと自分の席にへと滑り込んで、白一色のお皿に盛られているサラダをフォークでつつきつつ、さっくりといい具合に焼けているトーストにかぶり付く。
お、うまい。もっちりとしている身からはほんのりとバターの香りが漂っていて、その上でこのさっくりした食感が保たれていて…家族みんなで食べられれば、尚美味しかったんだろうな。
まだあつあつなトーストを手早く咀嚼し飲み込むと、一気にコップの中の麦茶を飲み干し、急いで鞄を持って玄関にへと向かい、靴紐をぎゅっとしっかり締めてから扉を開け、
「いってきます!」
「いってらっしゃい」
お母さんもいってらっしゃい、と言ってくれる日を待ち望みながら。
玄関を飛び出した先、見上げた場所にある時計の時刻はなんと8時。
ここから入学試験を受ける場所、雄英高校へ向かうのに必要な時間を考えると…全速力で走っても間に合うか間に合わないかのギリギリの時間。
「俺ってどうしてこうもドジなんスかね!」
さっきのトースト、咥えながら走ればよかった。
そんな後悔の念を内心強く抱きながら、折角整えた自分の髪型が崩れているコトにも構わず全速力で走り出す。
まず右を曲がって次に左を曲がって、その次にはまた右を曲がって、と道順を脳内で整理しつつ走っていくうちに段々と雄英高校の門が見えてきた。間違いない、このままのスピードでいけば…俄然間に合う!
「ひゃっほ~!滑り込みセーフッスね!やったねたえちゃ…ん?」
「あ、そこの人危な…うわぁぁっ!」
親方、空から男の子が!と思わず叫びたくなるような…門に向かってスライディングをしている真上に、ジャンプ台の上で転びでもしないとそうはならんでしょという体勢のままフッ飛んでくる男の子がひとり。
「もしかしなくても、これかなり俺ヤバい気がするんスけど…ちょ、神様仏様…」
そんな祈りは通じなかったのか、そのちりちり緑髪のそばかすがちょっぴりキュートな少年は明らかにビックリした顔のまま急降下して、俺は成すすべもなく押し潰されるような形になってしまった。