第1章 No.1
ー2年前、夏休み
高校一年生の夏休み、
高校生になって初めての夏休み。
私は何をするわけでもなく、
ただただ家にいた。
「~♪~♪」
・・・ん?
電話だ…誰だろ…。
『東堂尽八』
(尽八かいっ…。)
尽八は中学が一緒で、
地元も同じのため、親も仲良く、
腐れ縁みたいな存在だった。
けど、夏休みだっていうのに、
私に電話してくるなんて…
友達いないのかな…。
東堂『おー!尽八だぞー!」
「名前が表示されてるから分かってるよ…んで、どうしたの。」
東堂『照れ隠ししているのか?ワッハッハー!』
「切るね。」
東堂『あ、ちょーーー』
ブチッ
こいつはナルシストがすぎる。
世界は俺中心で回ってると思ってる。
わりかし、昔から。
別にもう慣れてるからいいんだけど、
やっぱりイラつく時は、イラつく。
クーラーの効いてる部屋の中で、
何もしないのが一番。
「~♪~♪」
・・・またかい。
『東堂尽八』
しつこいな…なんでメールとかにしないんだろ…。
「…何。」
東堂『ひどいではないか!勝手に切るな!』
「要件は、何?」
東堂『ああ、そうだった!お前今何してるんだ!?』
「特に何もしてない。」
東堂『東堂庵に遊びに来ないか!暇だろ!部活の奴らも来るのだが、人数多い方が楽しいかなと、思ってな!』
なぜ「部活の奴ら」に私を混ぜたいわけ?
こいつ何がしたいのかわからない時ある。
「なんで…?」
東堂『いいじゃないかたまには!家近いんだし、うちの母親がお前の好きなスイカ用意しているぞ!』
「え…。」
東堂『しかも、山浦さんの…スイカだぞ…。』
山浦さんのスイカとは、
私が昔から大好きな尽八の親戚の畑で獲れるスイカ。
本当においしくて、山浦さんのスイカに勝てるスイカはマジで、ない。
こいつ…私の扱いを分かってやがる…。
どうしよう。
尽八の部活の奴らに会うのは面倒だけど、
スイカだけは本当に、本当に食べたい…。
「あーーーーもーーーー。」
悔しい。こうやっていつも尽八に踊らされる。
「行く。」
東堂『ワッハッハー!さすがだ!では、あとでな!」
ツーツーツー
はあ…。
スイカだけ食べて帰ろう。
スイカだけ食べて帰ろう…。