第1章 新たな遊び
『今日はいつもと違う遊びをしましょう?』
そう言ってくれたご主人様。
俺は今、そんな彼女がシャワーを浴び終えるのを待っていた。
寝室のベッドの脇、言われた通り全裸で。
今夜は一体どんな事をしてくれるのだろう…
そう考えるだけで体が火照ってしまう。
「…イイ子にしてた?」
「っ……はい」
そう言いながら俺の元へ戻ってきた彼女。
シルクのガウンを纏ったその姿は美しく神々しい。
早く命令してほしくて目で訴えるも、彼女は俺の頭を撫でた後再び寝室を出て行ってしまった。
そしてタイミングを計ったように鳴らされたインターフォン。
(…誰か来たのか?)
玄関から聞こえてくるのは、彼女ともうひとり…若い男の声だ。
ご主人様との甘美な夜を邪魔されたような気分になり、思わず顔を顰める。
「へぇ…アンタ、ホントに杏樹さんの犬になったんだ」
「…!」
彼女と共に寝室へ入ってきた男の顔を見て俺は驚愕した。
ソイツはかつて、彼女が"女王様"として働いていたクラブのボーイだったからだ。
当然俺も何度か顔を合わせた事がある。
年齢は恐らく20代前半…所謂"イケメン"と言われる部類だろうが、そのホストのような風貌は軽薄さを感じさせた。
(どうしてご主人様がこの男と…)
店を辞めた今でもまだ交流があるのだろうか?
男の口振りから察するに、彼女と俺の関係も知っているようだが…
「今日は新しい遊びをするって言ったでしょう?」
「……、」
「慎太郎…私と彼がセックスするところをそこで見てなさい」
「…え……」
頭を鈍器で殴られたような衝撃が走った。
もう一度彼女の口から発せられた言葉を頭の中で反復してみる。
それでもすぐには理解出来なくて…
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