第1章 目覚め
そこへ昨日の岡田刑事が入ってきた。
「邪魔するよ
昨日の続きだけど…」
和田は腰を上げた。
「どうぞ刑事さん
和也、今日は帰るよ」
和田は帰っていった。
「記憶は?」
俺は首を振った。
「そうか…
困ったねぇ」
岡田刑事は意味ありげに首を振った。
「刑事さん、何があったか教えてくれませんか?」
岡田刑事は頭を掻きながら話し始めた。
「この男性に見覚えは?」
一枚の写真を俺に見せた。
「…分かりません」
三十代くらいの男性が写っていた。
「まぁ君の周りにも聞いてみたが誰ひとり知らないようだ
君は車に跳ねられたのだが、この男性は君の近くに倒れていてね、大きな外傷は無いが未だに意識不明のままだ
身元を示すものもなく、どこの誰だか分からないんだよ
現場に居た君は何かを見ているか知っている可能性がある
事件事故の両面で捜査してるが、目撃者も居なくてね
今のところ君だけが真相を知っている人物ということだ」
(俺の側に倒れていた?)
「俺は容疑者ってことですか?」
「彼の意識が戻って君にやられたと言えば、そういうことになるが…
君も被害者だろうと考えている
轢き逃げした車も捜査しているが…
まぁ何か思い出したら教えてくれ
ちょくちょく顔を出すことになるからな」
岡田刑事は頭を掻きながら出て行った。