第4章 事件
朝から岡田刑事がやってきた。
「…すまんな
犯人グループにして見れば君は目撃証人だ
狙われないとも限らないからな」
「分かってますよ
家に戻れば、家族や薫に危害があるかも知れないし、こっちの方が気が楽です」
岡田刑事は頭を掻きながら申し訳なさそうな顔をした。
「それより、港に行った理由は思い出したんですが、肝心な所はまだ…」
「…因みにどんな理由で?」
俺は思い出した内容を岡田刑事に伝えた。
「…港にそんな噂があるのか?
それは我々警察がもっとしっかりしないといけないな」
「理想はそうですが、実際問題手が回らないでしょ?」
岡田刑事は苦笑いしている。
「いつも思うが、君は常に冷静だね」
「実は自分でも不思議なんですよ
今回の事態に自分でも分からない何かのスイッチが入ったみたいで…」
俺も苦笑いしか出来なかった。
事実、事件の前の俺はこんなに冷静に物事を見れていなかった。
以前の俺なら今の状況にパニクっていただろう。
記憶喪失なんて有り得ないし、事件に巻き込まれるなんて事も有り得ない。
俺がパニクる前に和田がパニクってくれたおかげかも知れないな。