第5章 君を見つけた
『まぁ、ひなはモテるんだろうな。』
「別に、何もしなきゃモテないよ。
本当は男とかあんまり興味ないけど
こうでもしないと私干物になっちゃうから。」
『ははっ、何が堅実だよ。理由それかよ。』
「……失礼だなぁ。関係ないでしょ?」
『それがあるんだよ。初ナンパ記念。
俺に、連絡先教えてよ。』
「……嘘っぽ。後悔するよ?」
クスクスと笑いながらも携帯を差し出す。
どうやら連絡先は教えてくれるようだ。
『お、やった。俺、悠真。このアイコン。』
「私、hi_chan.ってやつね。
今スタンプ送ったから確認してよ。」
『おう、あ、猫飼ってんのか。』
「うん、2匹。可愛いでしょ?」
___ピコンッ。と来た通知を確認すると
2匹の猫と笑顔のひなの写真のアイコンが
表示されていて、可愛らしく好感がいい。
『………あざと。すっぴん眼鏡じゃん。』
「男の人はこういうのすきでしょ?」
『何で hi_chan.なの?偽名だろ?』
「本名も頭文字が ひ なの。都合良いんだ。」
『本当、怖い女だな。』
「賢いって言って欲しいんだけど。」
まあひなの言う 趣向品を買ってくれる人達
は本名など教えて貰えないのだろ。
かく言う自分もそうなのだが
とりあえずそれは置いておいてそんな事を思う。
『お……おれ、金ないけど。』
「無いなら作らせるから問題ない。」
『男には困ってねぇだろ。
なんで連絡先教えてくれたの?』
「ストックは多い方がいいし。」
『…………お前……やばい女だな。』
「あと、何か運命感じたから。
……私ナンパなんて基本無視するし。」
『本当かどうかは分かんねぇけど、
どうでもいいくらい嬉しいわ。』
「……本当だよ。私嘘はつかないもん。
けど、デートは奢りじゃなきゃ嫌だから。」
『あ、おいっ!!休みとか……』
「そのための連絡先でしょ。」
『………あ、そっか。』
「じゃ、帰るは。宅配便来るから。」
そう言ってスタスタと振り向きもせずに
帰ってしまった自称ひなは、
何を思ってそう言ったのか。真意が見えない。
自分もカモなのかもしれないと恐れつつも
なんでかどうでも良いほど 運命 などという
下らない言葉が自分と同じだと嬉しくなる。