第3章 貴方と紡いだ夜の詩
「………あら?優、先に死ねるの?」
『はっ、そうみたいだな。』
狂った男が打った銃弾は
鳴り響いた音と共に 優の体を貫いた。
ど真ん中を通過したソレは放っておけば
そのまま死に絶えてしまうが、
構うものなど誰もいない。それが日常なのだ。
「今日は、派手ね。私も一緒に死にたいわ。」
『そんな顔すんなよ、願ってた事だろうが。』
痛みに少し顔を歪ませながら
ほろりと流れた 雫 の涙をそっと拭う。
それを皮切りに凛とした顔がスっと歪む。
「馬鹿なの?いつも一緒に死にたいって
願ってただけで…これじゃ独りぼっちよ。」
『なあ、生きろよ。雫。』
「嫌よ。私も………今死ぬわ。」
__パンっ!!けたたましい音を立てて
静かに優が銃弾を喰らった場所と揃いの場所に
雫は躊躇なく銃弾を撃ち込んだ。
『…そうか俺は甲斐性なしだからな。
お前のこと否定なんてやっぱ出来ねぇや。』
「それが貴方よ。ねぇ優、貴方が好き。」
『おいで雫。俺達なんて誰も見ちゃいねぇさ。』
狂った男たちは互いに銃を撃ちまくる
流れ弾など気にしないそれが日常。
ただ、今日は少々激しいようだから
余計自分たちなど気にもかけられないだろう。
「ねぇ、来世とかあるのかな?」
ずっと閉じ込めたかった腕の中に
好きな女を閉じ込めたら可愛らしく涙を流し
生ぬるい血を流しながらそんな事を言い出した。