第3章 貴方と紡いだ夜の詩
『阿呆か。死こそ永遠。何だろ?
それによく言われるじゃねぇか悪人は地獄。
あったとしても俺らは2人共地獄行きだ。
生まれ変わるなんて出来るわけねぇだろ。』
「それも…そうね。
やっぱり優は何時でも私を否定しないわ。」
『俺は唯の甲斐性なしだって言ってんだろ。』
こんだけ人を不幸にしてる俺達は
地獄があるならもれなくそれ行きで、
来世なんてどの道残されてないのだから。
雫の言う通り死は永遠だというほうが
いくらか救いもあるだろう。
「けど、全てが優でないと嫌だから
生まれ変わっても意味ないわ。」
『それもそうだな。
お前じゃねぇと…意味がねぇ。』
コツンと頭を合わせて血まみれの手で
お互いの頬を包み触れるだけの口付けをする。
『「好きよ。/ 好きだ。」』
それだけ言うと2人は静かに目を閉じる。
やっと終わりだ、逆らうこともない
お前が 貴方 が今そばにいてこのまま眠れる
何てそれが幸せな事か。
もう二度とこんな世には生まれたくない。
『(だけど、お前がお前のまま生まれ変わるなら)』
「(けれど、貴方が貴方のまま生まれ変わるなら)」
『「(またお互いに好きと言いたい。)」』
夢ならばそんな事も叶えられた。
けれどこれは現実であって夢物語は叶わない。
2人の 恋 も 人生も この 優と雫 という存在も、
死んでしまえば全てがここで終わり。
地獄や天国など死に救いを求めた者の
単なる絵空事。死は永遠に続くだけ。
それが真実であり唯一の事実なのだ。
貴方と紡いだ夜の詩 それは
そんな残酷で純粋な恋の詩だった。
。